
時は戦国時代、日ノ本。
突如現れた“鬼神”により、覇権を争っていた戦国武将は
ことごとく討ち死にし、人の世は終わりを告げる。
それから150年、鬼神による支配に抗い、自由を求めて戦い続ける者たちがいた
――その名は“武士団”。
幼い頃、小次郎の父から聞かされた武士の姿に憧れた武蔵と小次郎は、
“最強の武士団”結成の夢を誓い合う。
しかし、鬼を神と崇める町で、人々にとって武士は悪とされる存在。
武蔵は周りの空気に合わせ「武士になりたい」と声に出せず、
小次郎もまた武士の子として人々から疎まれていた。
自分の生き方に葛藤を抱えていた武蔵がある日、目にしたのは
無感情に人間を引き裂く鬼の姿。
その真実を前に、武蔵は小次郎との夢を叶えるため、
圧倒的な力を誇る鬼に立ち向かう…!
動乱の世。日ノ本は突如飛来した謎の生命体「鬼神」に支配され、鬼神に抗う武士は大罪人とされ、忌み嫌われていた。人々が鬼神を崇める中で、武蔵には心に秘めた夢があった。それは、幼なじみの小次郎と一緒に「最強の武士団」を作り、鬼退治をすること。かつて日ノ本に自由を取り戻すために鬼神に立ち向かった武士のように。小次郎の亡き父・自斎が語ってくれたように。しかし、それは世間の嘘と戦うことでもあった……。
突如、現れた鬼神「炎獄天狗」に立ち向かう武蔵と小次郎。しかし、小次郎は炎獄天狗に刀を奪われそうになる。刀は亡き父・自斎の形見、そして武士の証。武士というだけで幼い頃から差別され、虐げられ、武士の血が流れていることに複雑な思いを抱いていた小次郎は、武士としての覚悟を問われる。一方、武蔵は刀を奪い返そうと、果敢にも一人、炎獄天狗に立ち向かっていく。ところが、そこに謎の集団が現れる。――武士団だ!
武蔵と小次郎の前に現れたのは、武田武士団だった。武田より先に鬼神・炎獄天狗を倒して初手柄をあげたい武蔵。しかし、団長の武田尚虎に「お前一人で勝てる相手じゃない」と言われ、カチンとなる。一方、小次郎は武田武士団が鬼神と戦う姿を感慨深げに見つめていた。その光景は、幼い日に父・自斎から見せて貰った絵巻物そのもの。「親父の話は本当だった……」一方、尚虎の言葉に悔しさを募らせる武蔵は炎獄天狗に向かっていく!
安芸・竜山町を後にして外の世界へ足を踏み出した武蔵と小次郎。そんな二人の前に一人の少女が現れる。小雨田武士団の服部つぐみ。つぐみに鬼鉄騎を奪われた武蔵と小次郎は取り返すためにつぐみがいる五月雨城へ向かう。そこで二人は初めて移動城塞の中を見る。そこには普通の領民の生活が、普通の家族の暮らしがあった。そんな中、武蔵たちは城主・小雨田英雄から鬼退治の協力を求められる。城には木霊鬼の大群が迫っていた!
つぐみに奪われた鬼鉄騎を取り返すため、五月雨城にやって来た武蔵と小次郎。そこに木霊鬼の大群が迫る。木霊鬼は一体一体は弱いが、群れとなり押し寄せると災害のような破壊力を発揮する厄介な鬼だ。その木霊鬼を倒すべく、五月雨城城主・小雨田英雄は領民に対して、ある命令を下す。それは同時に、つぐみに苦渋の決断を迫るものだった……。果たして、武蔵と小次郎は木霊鬼に勝てるのか!?
木霊鬼は去り、小雨田城は災害の後のように瓦礫と化した。武蔵と小次郎は城の復興を手伝うことに。一方、つぐみは英雄との直接対決には勝利したものの、英雄の精神的支配からは逃れられずにいた。そんなつぐみを心配するばあや達から、武蔵と小次郎はある事を頼まれるのだが……。そんな中、武蔵は謎の男と出会う。男は鬼神を倒すことができる刀を持っていた。それは――「鬼鉄刀」。
鬼神を倒すことができる唯一の刀――鬼鉄刀。大東鉱山にやって来た武蔵と小次郎は、早速、鬼鉄刀を買いに行く。そこには刀匠頭・長舩ミツル率いる竜造寺武士団が作った鬼鉄刀が並んでいた。そして、二人は「刀の試し」を受けることに。鬼鉄刀は刀の試しで選ばれた者しか手にすることが出来ないのだ。早速、刀を握る武蔵と小次郎。その瞬間、異変が起きて……。果たして、二人は刀の試しに成功して鬼鉄刀を手にすることができるのか!?
刀の試しを受けた武蔵と小次郎。刀の試しに成功し、鬼鉄刀・裂空八重桜を手に入れた小次郎は武士たちと共に大東鉱山へ鬼神退治に向かう。一方、刀の試しに失敗し、絶望する武蔵。そこに謎の男・犬飼四郎が現れる。「とうとう見つけた。黒曜の女神を」四郎は武蔵を穴の中に突き落とす。そこは四郎の技で現れた炉の中。武蔵は燃え盛る溶岩へ真っ逆さまに落ちていく……。四郎の目的は武蔵を鬼鉄刀にすることだった!
心の奥底にしまった過去を突きつけられ、ショックの武蔵。武蔵の体は加速度的に黒い鉱石へと染まっていく。一方、鬼神・阿形吽形の退治に向かった小次郎とつぐみは「刀狩り」に遭う。刀狩りは、鬼鉄刀の力を奪うために持ち主を殺すこと。だが、ただの刀狩りの野盗にしては様子がおかしい。「君も鬼鉄刀になれるよ」刀狩りは四郎。四郎の目的は、武蔵のために小次郎を道連れにすることだった。四郎の仲間・犬坂七緒も参戦して……。
七緒の剣技「鞭剣七刀流・轢殺車」に翻弄される武蔵、小次郎、つぐみ。錫杖の柄が七本の剣となり、次々と三人に襲い掛かる!そんな中、小次郎が突破口を見出し、三人は反撃に転じる。小次郎の作戦は見事的中、七緒を追い詰める!次は四郎が相手だ。四郎の技は空間を四角く切り取り、空間ごと転移し、自在に操る人知を超えた技。その未知の力に、武蔵たちは絶体絶命のピンチに陥る。その時、武蔵の中に眠る黒曜の力が覚醒した……!
武蔵の中に眠る「黒曜の女神」が覚醒した。女神はすべての刀気を引き寄せ、扱うことができる「鬼鉄刀の支配者」。しかし、現世にいられる時間は限られている。黒曜の女神は武士たちの刀気をかき集め、最後の力を振り絞る……!翌日、大東鉱山で葬儀が行われた。鬼鉄刀は生きた武士の証。刀に手を合わせ、弔う姿を見ているうちに武蔵の中である決意が芽生える。もう一度、刀の試しを受けようと。果たして、その結果は――
東へ向かう武蔵、小次郎、つぐみ。道中、武蔵は猿渡みちるという少女と出会う。みちるは上杉連合の戦に参加するため播磨へ行くところだと言う。上杉武士団の団長・上杉竜臣は日ノ本最強とうたわれる五人の武士「五傑将」の一人。五傑将の悲願は日ノ本最強最大の「黒鬼神」を打ち果たすこと。自斎の絵巻物には上杉の花押が入っている。父親のことを知りたい小次郎。もっと武士のことが知りたい武蔵。鐘巻武士団が進む先は……
播磨の港を訪れた武蔵、鐘巻小次郎、服部つぐみ。そこには淡路島を飲み込む巨大鬼神「砲戦竜・八岐大蛇」討伐を目指す上杉武士団と、上杉の傘下である島津秋弘・尼子勝巳ら各国の武士たちの姿があった。偶然にも武田武士団団長・武田尚虎と再会を果たした武蔵たちは、鐘巻自斎の話を聞き出すべく、上杉武士団団長である上杉竜臣に近づこうとする。しかし、竜臣の部下・直江兼竜から不審者の嫌疑をかけられ……。
上杉連合の一員として徴兵され、鐘巻小次郎・服部つぐみと引き離されてしまった武蔵。ひとり送られた兵舎では、武蔵と同年代の武士である島津武士団当主子息・島津秋弘と尼子武士団当主子息・尼子勝巳が、どちらが小隊の指揮を執るかで対立していた。武蔵も自ら加わり、三すくみの状態となる。さらに空気が最悪のまま、小隊は淡路島沖へ第一陣として出陣することが決まる。
巨大鬼神「砲戦竜・八岐大蛇」が生み出した小鬼・緑色鬼「口裂鬼」との戦いで自分の無力さを痛感した武蔵。悩む武蔵の前に現れたのは、尼子勝巳だった。「君は強くなれる」――勝巳の言葉に励まされ、決意を新たにする武蔵。一方で猿渡みちるとの距離が縮まり、嬉しい武蔵。しかし、みちるには秘密があった……。
上杉連合に忍び込んだ敵の間者として、軍師・宇佐美黒子に捕らえられてしまった武蔵。処刑場で磔にされた武蔵の前に立ちはだかったのは島津秋弘だった。「お前は邪魔な障害物だ」――武蔵の首元に、秋弘の鬼鉄刀が迫る。その時突如、言葉を操る「鬼」の大群が処刑場を襲撃。彼女たちはみちるを「姉」と呼ぶのだった……。
奇襲をしかけてきた「鬼」と激戦を繰り広げる上杉武士団。しかしあと一歩のところに黒曜石の八人の一人、犬飼四郎が現れる。その手には、上杉竜臣の鬼鉄刀が握られており……。さらには四郎の仲間・犬川静六も戦いに加わり、直江兼竜の前に立ちはだかる。一方、四郎の技で淡路島に飛ばされた武蔵は、みちると共に犬田八咫郎と対峙する。
竜臣を奪われ、八岐大蛇と四郎・静六によって壊滅状態に追い込まれる上杉武士団を救うため、直江兼竜は、「黒曜の女神」の力を解き放つと伝わる上杉の秘宝を武蔵に差しだす。秘宝を前に、武蔵は敵の武士と戦う決意を新たにするのだった。そして「淡路島奪還作戦」が動き出す。八岐大蛇の討伐、上杉竜臣の救出、黒曜石の八人の討伐。3つを平行して行うため、軍師・宇佐美黒子の采配の下、ついに反撃に動く武蔵たち。果たしてその策とは。
宇佐美黒子と犬川静六の軍師対決は、黒子の勝利に終わる。しかし、ここからが本当の戦いであった。上杉武士団赤刀一位の誇りをかけて戦う直江兼竜の前に、刀気を糸のようにして操る静六が立ちはだかる。さらに日ノ本最強と謳われる「五傑将」の1人武田尚虎は、底知れぬ力を持つ男・犬飼四郎と再び刀を交える。そんな中、武蔵は犬田八咫郎の下へと走る。今度こそみちるを救い出すために。
謎に包まれていた犬飼四郎の力の秘密が、ついに明かされる。四郎は過去にもほとんど存在しない白い刀輪の持ち主、最強と言われる白刀武士だったのだ。青刀武士である武田尚虎を「ハズレの色」と笑う四郎だったが、尚虎は「青刀でも最強になれることを証明してやる」と不敵な笑みを浮かべる。一方武蔵たちは、犬田八咫郎との戦いのため淡路島・諭鶴羽山の深部へ向かうが……。
諭鶴羽山最深部に辿り着いた武蔵たちを待ち受けていたのは、鬼神と同化し、八岐大蛇と化した犬田八咫郎だった。その力は強大で、一撃で多くの連合武士を消し去ってしまう。弱点である真角を破壊すべく、島津秋弘ら島津兄弟が刀気を繋ごうとするも、刀へと姿を変えた八咫郎の娘たちに阻まれ、刀気を繋ぐことができない。刀気の連携に参加できない武蔵は、自分に出来る形で彼らに加勢しようとする。
鬼神との戦いが激化するにつれ島津兄弟の仲が険悪になっていく。好転しない状況にいら立つ秋弘は、ついに兄弟たちと衝突し、とうとう孤立してしまう。そんな彼らの様子に武蔵は引っ掛かりを覚える。兄でありながら青刀武士の春久と、弟でありながら赤刀武士の秋弘。二人の過去に何があったのか――。そんな中、秋弘は一人、鬼神へと向かって行く。果たしてその本心は――。
ついに巨大鬼神・八岐大蛇の真角を破壊し、「淡路島奪還作戦」は成功したかのように思われた。しかし、鬼神撃破後、本来なら鬼鉄刀に吸収されるはずの鬼鉄は、何故かどこかへと吸い込まれていく。竜臣救出の任に当たる小次郎・つぐみら別動隊も依然、戻って来ず、さらにみちるの姿も見当たらない。みちるを救出すべく、山頂へと向かった武蔵たち。彼らを待ち受けていたのは、宙に浮く黒い刀だった。
いよいよ決戦の時を迎えた。黒曜の女神の力を得た武蔵は、捨て身で鬼神と化した八咫郎に向かって行く。武蔵の勝利を信じて祈るつぐみ。果たして、勝負の行方は――。武蔵はみちるを取り戻すことができるのか!?小次郎は父・自斎の謎を解き明かすことができるのか!?そして、淡路島奪還作戦に関わったすべての武士たちが願った「誓い」とは――。