
校門まで残り200メートル。 そこで立ち尽くす。
「はぁ」
ため息と共に空を仰ぐ。
その先に校門はあった。
誰が好んで、あんな場所に校門を搭えたのか。
長い坂道が、悪夢のように延びていた。
「はぁ…」
別のため息。俺のよりかは小さく、短かかった。
隣を見てみる。
そこに同じように立ち尽くす女の子がいた。
同じ三年生。けど、見慣れないだった。
短いが、肩のすぐ上で風にそよいでいる。
「この学校は、好きですか」
「え…?」
いや、俺に訊いているのではなかった。
「わたしはとってもとっても好きです。
でも、なにもかも・・・変わらずにはいられないです。
楽しいこととか、うれしいこととか、ぜんぶ。
・・・ぜんぶ、変わらずにはいられないです」
たどたどしく、ひとり言を続ける。
「それでも、この場所が好きでいられますか」
「わたしは…」
「見つければいいだけだろ」
「えっ…?」
驚いて、俺の顔を見る。
「次の楽しいこととか、うれしいことを見つければいいだけだろ。
あんたの楽しいことや、うれしいことはひとつだけなのか?違うだろ」
そう。
何も知らなかった無垢な頃。
誰にでもある。
「ほら、いこうぜ」
俺たちは登り始める。
長い、長い坂道を。
進学校に通う高校3年生の岡崎朋也は、無気力な毎日を送っている。毎日同じことの繰り返し。周りのみんなのように学校生活を楽しむこともできず、毎日遅刻ばかり。そのためか、校内では浮いた存在になっていた。ある日、朋也は学校まで続く坂道の下で、一人の少女と出会う。
父親の態度に思わず家を飛び出した朋也は、気づくとなぜか渚の家に来ていた。ぼんやりと渚の家から漏れる光を眺めている朋也。ふと声がして振り返ると、穏やかな表情で謎めいた言葉を語りかける渚の姿があった。
雨に打たれながら朋也を待っていた渚が倒れてしまう。翌日朋也は様子を見に渚の家を訪れる。秋生と早苗は心配ないと言うが、朋也は責任を感じる。朋也の頭からは、バスケットボールを抱え雨にうたれる渚の姿が離れなかった。
演劇部復活に向けて活動する渚と朋也。しかし学校内に貼った部員募集のポスターがはがされ、渚が生徒会に呼び出されてしまう。部員募集の活動ができなくなった渚を朋也は励ます。そんな二人の様子を春原が見ており…。
風子の姉が、渚が一年生の時に美術を担当していた先生だとわかった。だが、風子の話はどこか不思議で、渚が知っている先生の妹に関する話ともつじつまがあわない。疑問に思った朋也は渚と一緒に、風子の姉・公子の家を訪ねてみることにする。
風子が渚の家に泊まるようになり、古河家には新たな笑いが生まれることに。学校では相変わらず生徒に彫刻を配って歩く風子。がんばる風子を見て、渚は公子と風子を合わせるため、創立者祭に公子を呼ぼうとする。
創立者祭にやってきた公子。やっと風子と公子があえると喜ぶ渚。しかし公子の口からでた意外な言葉に、朋也と渚は凍りつく。それはとても悲しい現実だった。そんな二人に公子は学校に風子がいるという噂を知っているかと尋ねる。
幸村の計らいで式を学校であげる許可もおり、遂に公子の結婚式の日が決まった。結婚式に向け生徒へヒトデを配り続ける風子。そんな風子の姿を見守る朋也と渚。しかし風子が差し出すヒトデを受け取らない生徒の数が増えていた。まるで風子の存在に気づかないかのように…。
風子を連れて朋也と渚は夜の学校へ忍び込む。演劇部の部室で今までどおりなにげないことでふざけあいながら過ごす3人。ふいに風子が朋也と渚にお互いを下の名前で呼ぶべきだと話す。照れる二人。そんな二人に風子は公子と芳野のように幸せになってほしいと笑いかける。
演劇部復活の部員集めを再開する渚。なかなか進まない状況をみた朋也は、新入部員候補としてある少女を思い出す。それは、授業に出ず図書室でいつも本を読んでいる一ノ瀬ことみだった。
音楽室のバイオリンを貸してもらえることになったことみ。嬉しいことみはバイオリンを弾いて聞かせるが、その音色は周りの人間を悶絶させてしまう。杏はバイオリンからことみの気をそらそうと「お笑い」の練習をさせるが、たくさんの人にバイオリンを聴いてほしいということみのため、バイオリンの発表会を開くことにする。
バイオリン発表会も終わり、ことみは借りていたバイオリンを返すことに。バイオリンを貸してくれた仁科とも友達になり、ことみは教室で授業を受けるようになっていた。いつも図書室一人だったことみの周りに少しずつ人の輪ができていた。
ことみの家に見舞いに行った朋也は、ことみの家に見覚えがあった。家に忍び込み、ことみの姿を見つけた朋也は、小さい頃ことみと出会っていたことに気づく。よみがえる幼い頃の記憶。問いかける朋也にことみは両親のことを語り始める…。
ことみのためにできること。渚と杏、椋はことみの誕生日にむけて動き出し朋也はことみの家の荒れ果てた庭のそうじをはじめる。渚たちも時間を見つけては朋也を手伝い、家の中のことみに呼びかけるが、返事はなく…。
演劇部の復活に向けて、杏や椋、ことみが部員として名前を貸してくれることになった。これで活動に必要な人数がそろい、あとは顧問の先生が決まれば演劇部を復活させることができる。渚たちは幸村に顧問を引き受けてほしいと頼みにいくが…。
春原の妹・芽衣が兄を訪ねてやってきた。朋也の悪ふざけのせいで、春原は芽衣が来ることを知らない。留守中の春原の汚い部屋を手際よく片付けたり、とてもしっかりしている彼女は、とても春原の妹とは思えない。芽衣を見て感心する朋也と渚。そこへ何も知らない春原がやってきて…。
朋也達とバスケ部との試合を見た仁科たちは、渚に顧問の兼任を提案する。これで演劇部が復活できると喜ぶ渚たち。渚は早速生徒会に話しにいくが、生徒会は顧問の兼任を認めてくれなかった。さらに、生徒会との話を終えた渚が倒れてしまう。
他校生とのケンカ騒ぎで、智代をかばった朋也は停学になってしまう。責任を感じ、本当のことを話そうと迷っている智代に、朋也は演劇部のためにも絶対に生徒会長になってほしいと話す。一方、渚は倒れた日からずっと学校を休んでいた。
学園祭に向けてついに演劇部が動き出した。そんな中、朋也は進路相談の家庭訪問をうけることになった。理由をつけて逃げ回る朋也。だが、逃げているところをに渚に見つかってしまい、家まで付き添われることに。そこで渚は、朋也と父親との関係を知る。
学園祭に向け、練習を始める渚。だが、彼女がやりたいという劇は、小さい頃に渚が聞かされたというタイトルも分からない話だった。それはとても悲しい、冬の日の幻想物語。世界にたった一人残された女の子の話だった…
学園祭が近づいてきた。役者である渚のほかに、杏達で音響や照明の係りも決まり、演劇部の活動も本格的になってくる。早苗も衣装を担当してくれることになり、秋生も渚のために演劇のビデオを借りてくる。しかしそれを見た渚の口からまたまた爆弾発言が飛び出す。
学園祭当日。最悪のタイミングで両親の過去を知ってしまった渚を、朋也は必死に励ます。しかし、両親だけでなく、朋也たちにも迷惑をかけてしまっていると自分を責め続ける渚。舞台の本番が近づいていた…。
学園祭も終わり、朋也は高校最後の夏を迎えていた。夏休みに入ってからも3年生は補習の続く毎日だが、朋也は渚の手前サボることも出来ない。そんな中、春原の妹・芽衣が再び遊びにくる。
部活もせず毎日をぐうたらに過ごしている岡崎朋也。進学校の中では浮いた存在で不良扱いされている。そんな朋也を毎朝起こしに来る一人の生徒・坂上智代。お弁当を作ったりこまめに世話を焼いてくれる彼女の目標は生徒会長になることだった。ある朝、いつものように智代が朋也を起こしにくる。それは、生徒会長選挙当日。二人が付き合い始めて1カ月が経とうとしていた…。
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